Q1:あっせんとはどういう制度ですか?
Q2:あっせんは一人でもできますか?
Q3:あっせん申請したことで解雇などされることはありませんか?
Q4:一人でも入れる労働組合に加入した方がいいのでは?
Q5:裁判との違いは? 簡易裁判とは?
Q6:労働審判制度との違いは?
Q7:あっせんを相手(会社)は拒否できるのですか?そのときはどうすればいいのですか?
Q8:労働基準監督署に動いてもらった方が良くはないですか?
Q9:あっせん代理人への報酬はどの程度ですか?
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Q1:あっせんとはどういう制度ですか?
A:増える一方の労働組合に入っていない一人一人の労働者と会社とのトラブルを解決するための一つの方法として、国(厚生労働省)の設けた制度が、労働局に置かれる紛争調整委員会のあっせん制度です。
厚生労働省の出先機関であって、各都道府県に置かれている労働局紛争調整委員会に申請します。
申請を受けると専門家のあっせん委員が間にたって、話し合いを和解に向けて導いてくれます。
あっせんの場に持ち出せる内容は、職場、労働にかかわるあらゆることです。
紛争というと争いと同じ意味で一般には使われ殺伐としていますが、あっせんをさだめた法律では紛争とは、「双方の主張が一致していない状態」です。話してまとまらなければ、何でもあっせんを申請できます。
あっせんでは、労働法の専門家である紛争調整委員会のあっせん委員が、双方それぞれから交互に個別に話を聞いて、あっせん案を作成していきます。相手と面と向かって話す必要はないので、冷静な話ができ、普通は、3時間程度の1回だけで、あっせん案が提示されます。 このあっせん案を双方が受け入れれば、民法上の和解が成立します。どちらか一方が受け入れない場合は、あっせん終了となり、それ以上争う場合は、簡易裁判、労働審判、通常の裁判など裁判制度の場に持ち込むことになります。 あっせんは無料です。
→厚生労働省の制度説明「個別労働紛争の解決の促進のために」
企業組織の再編や人事労務管理の個別化等に伴い、労働関係に関する事項についての個々の労働者と事業主との間の紛争(以下「個別労働関係紛争」といいます。)が増加しています。
民事の問題である個別労働関係紛争については、我が国においては最終的には裁判で解決されるべきものですが、現実の問題として、裁判には多くの時間と費用がかかります。
また、労働者と事業主という継続的な人間関係を前提とした円満な解決のためには、労使慣行等をふまえた解決が図られることも重要です。
このため、労働問題への専門性が高く 、無料で個別労働関係紛争の解決援助サービスを提供する、全国レベルのセ イフティ・ネットとして、「個別労働関係紛争の解決の促進に関 する法律」に基づき、整備された制度です。
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ただ、このあっせんには、残念ながら、強制力がなく、参加自体を拒否されてしまうことがあります。紛争調整委員会の事務局としても、あっせんの場に出られて早期に解決されたらどうですか、とあっせんの場に参加することを勧めてくれはしますが、強制力はありません。 その場合は、強制力のある簡易裁判、通常の裁判という司法の場に持ち込むか、または労働組合に入っての交渉を行うことになります。 ちなみに、厚労省によると、全国で、あっせん受理数6,793件のうち、合意して解決したもの39.5%、相手が参加しない、あっせんをに少なくとも一方が受け入れないなどで打ち切られたもの52.5%となっています。→個別労働紛争解決制度施行状況 |
Q2:あっせんは一人でもできますか?
A:本人一人でできます。ただ、専門家であるあっせんサポート人を頼んだほうが、結果的によりよい解決が得られる場合の方が多いと思います。
- 申請自体、本人一人で申請するとつき返されたが、補佐人といっしょに申請するとすんなり受理されたという場合もあります。
- あっせんと言えども、こちらの主張を陳述書という形で、あっせん委員や相手方にわかりやすくまとめる必要があり、これがあっせんを有利に進めるための大きな武器になります。これを一人で書くのはなかなか手間と労力がかかります。
- 申請内容についても、代理人に依頼することにより、本人だけで申請した場合と違って、より労働者の権利をはっきり主張して、会社に求めるものは求めるという場合が多くあります。
たとえば、上司によるいじめ、いやがらせで退職に追いやられ、自己都合の退職とされ、退職金を減額された場合に、本人は退職金減額分の支払いを求めるあっせん申請をしようしていたのですが、あっせんサポートを依頼したところ、上司にいじめられたことについて会社の職場環境の保全義務違反を根拠に精神的苦痛に対する損害賠償を求めることも合わせて求めることにした、などの例があります。 求める内容が膨れると解決の結果も、労働者に有利になる可能性が増します。
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Q3:あっせん申請したことで解雇などされることはありませんか?
A:あっせんの申請をしたことや助言・指導を求めたことを理由に、解雇や降格、減給などはしてはならないと法律で定められています。これは労働基準監督署への申告も同様です。ですので、この場合の解雇など不利益な扱いは法的に意味がないもの(無効)です。 |
Q4:一人でも入れる労働組合に加入した方がいいのでは?
A:私自身も、一人でも入れる地域合同労組で中心的に活動していたことかありますので、一人でも入れる労働組合に入ってたたかわれることをもちろん応援します。
ただし、以下のことを念頭においた上で加入された方がいいかと思います。
- 偉そうにふるまわず、あなた自身の気持ちを受け入れて、親身になって動いてくれる役員の方が見つかること
- 数の力を背景に力で押して行く方法を取ることが多いので、そういうスタイルに抵抗がないこと
- 解決によってお金を得た場合、まったく労組に渡さないということは考えにくいこと
- 数の力で押した場合に、集まってくれた組合員の人たちは、小さな労組の場合、無報酬で来てくれている場合がほとんどです。来てくれたかわりに、今度はあなたが、その人たちが抱えるている戦いに参加することが求められます。
- いきなり労組の役員と聞いて相手が身構え、態度を硬くして、より対立が深みにはまる可能性もあること
があります。自分のトラブルの解決だけでなく、その後の少なくともある程度の間は、微力であっても、層としての労働者の問題にかかわって行きたいという方にはお勧めです。ただ、そういう本人の考えとともに、トラブルの内容、相手側の分析も含めて、最初から労働組合加入でいくか、まずは助言指導を求めたり、あっせん申請をし、相手から拒否を受けた後に加入することを考えるかをよく考えて選択された方がいいと思います。 ただ、結論的には加入するかどうかは別にしても、労組、特に地域のコミュニティ労組に相談をされることは、お勧めします。 労働トラブルの場合、複数の専門家の意見を聞くことは重要です。 |
Q5:裁判との違いは? 簡易裁判とは?
A:裁判は時間も労力もかかるため、会社と労働者双方にとって、よりスムーズな解決方法はないかということで、設けられたのがあっせん制度です。
裁判は時間的にも何年もかかってしまうのに対して、あっせんは、申請後約1ヶ月であっせんの日が設定され、原則その一回だけです。
費用も当然少なくすみます。
とりあげる問題も、職場、労働に関わるあらゆる問題になります。法律や判例として確立されていない問題はもちろん、将来の問題も対象となります。近い将来、セクハラ相談室を設置してほしいやアルバイトから正社員への道を開いてほしいなどです。
また、あっせんは非公開ですから、プライバシーの関わるセクハラなどには向いている制度です。
ただ、裁判の中でも、簡易裁判は使い勝手のいい制度です。140万円以下の請求を求める場合の制度で、短期間ですみ、費用もそれほどかからず(140万請求の場合で2万円)、和解も促してくれます。また、あっせんと違って、相手が出て来ないということはできませんので、場合によっては、この簡易裁判を使うのも有効です。 さらに、簡易裁判所で行う裁判には、原則1回で審理が終了する少額訴訟もあります。60万円以下支払いを求める場合に行えます。→これらの簡易裁判についてはこちら
あっせんが相手の参加拒否なとで不成立に終わり、簡易裁判に進む場合には、私が補佐人として手助けをすることもできますし、事案によっては、信頼できる弁護士をご紹介することもできます。
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Q6:労働審判制度との違いは?
A:裁判にあまりにも時間がかかるからとスタートした労働審判制度ですが、基本的には裁判所が行うものですので、対決がベースにあります。 とことん戦うわけではないという場合は、まずは助言・指導を求めるか、あっせんの場で話し合ってみるのがお勧めです。 もちろん、あっせんなどを相手が拒否したり、相手の条件がとても受け入れられない場合は、この制度を使うことになります。 その場合には、私が補佐人として手助けをすることもできますし、事案によっては信頼できる弁護士をご紹介することもできます。
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Q7:あっせんを相手(会社)は拒否できるのですか?そのときはどうすればいいのですか?
A:残念ながら、あっせんの場に出で来ないことができ、拒否できます。拒否した場合には、裁判や労働組合による解決という方法になります。 ただ、あっせんを拒否したという事実は、裁判になった場合、裁判官にとって相手方の心象が不利になる可能性があります。 労働審判、簡易裁判、少額訴訟、通常の裁判などの場に持ち込む場合には、事案によって、私が補佐人として手助けをすることもできますし、信頼できる弁護士をご紹介することもできますので、どうぞご安心ください。 |
Q8:労働基準監督署に動いてもらった方が良くはないですか?
A:明らかに法律違反の場合、監督署に動いてもらって改善される場合ももちろんあります。ただ、法違反が明確でない場合、法律や判例などで法律の枠がしっかりと確立していないいじめやパワーハラスメントなどの場合、または法違反の証拠をしっかりと持っていない場合などは、監督署はなかなか動きたがりません。 また、あっせんを扱う労働局とは、同じ国の機関ですから、監督署に相談しても、あっせんを勧められる場合も多くあります。
あっせんの申請と同時に、監督署に申告することも有効な場合がありますから、使いようです。この場合も、一人で申告するのではなく、当方とともに申告する方が要点を得て申告でき、監督署も動かしやすくなります。
雇用保険や健康保険、厚生年金に入っていない場合も多々あります。この場合は、職業安定所や社会保険事務所に請求することになります。この場合も、こちらに権利はあっても、役所はなかなか動いてくれません。役所をスムーズに動かすには当方に依頼することをお勧めします。
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Q9:あっせんサポートの報酬はどの程度ですか?
A:相談については、30分5,000円前後の料金が一般的なようです。 その後は、解決によって金銭が発生する場合は、解決で得られた金額の10%程度という場合が多いようです。 謝罪や解雇、配転、労働条件の変更の撤回など、直接に金銭が発生しない場合は、別途、トラブルの複雑さなどによっても見積もりをすることになります。
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